この記事を読むと?
遺留分の概要について知ることが出来ます。指定分割があったものの、ご自身の相続分が侵害されている可能性があるという方や、遺留分侵害額請求をしたいけれど方法が分からないという方などにお役立ていただける記事になっておりますので、是非とも参考にして頂けたらと存じます。(2021年6月現在)
遺留分とは
遺留分とは、相続人が最低限相続出来る割合のことです。遺言書の内容に不満がある場合、遺留分侵害額請求の手続きをとれば、遺留分が認められている相続人は遺留分を受け取ることが出来るのです。しかし、排除された相続人や相続欠格の人物、さらに第3順位の兄弟姉妹には認められていません。
遺留分の割合は、相続人によって変わってきます。原則、法定相続分の2分の1で、相続人が親のみの場合は法定相続分の3分の1になります。遺留分は、相続人が受け取ることが保証されている最低金額であり、上限金額でもあります。
☆ポイント
遺留分は最低限相続出来る割合
範囲は被相続人の第1順位と第2順位のみ
遺留分侵害額請求の手続きが必要
遺留分侵害額請求権とは
遺留分侵害額請求権とは、遺言の内容に偏りがあった場合などに遺留分が侵害された額を請求する権利です。以前は、遺留分減殺請求権という名で、不満のある相続のモノに対して、そのモノを取り戻すという形(物権的権利)でしたが、民法改正により遺留分侵害額請求権に変更されました。これにより、遺留分の侵害に対し、モノではなく金額の請求(債権的権利)に変更になりました。
遺留分侵害額請求の方法
遺留分侵害額請求の方法としては、特に形式はありません。相手方に意思表示をすれば良いので、内容証明郵便を送ったり、遺産分割協議の際に請求するなどの方法があります。それでも請求に応じない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをするか、地方裁判所で訴訟を起こしていきます。
遺留分侵害額請求は相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内、相続開始後10年以内に行わなければ時効で消滅してしまいますので、この点は注意が必要です。
遺留分侵害額請求書
法的に認められている遺留分ですが、遺留分侵害額請求をしなければ、侵害された分を取り返すことが出来ません。また、財産が絡むことですので、個人間でのトラブルにもなりかねません。その為にも、当事者間で合意した場合は遺留分侵害額請求書を作ることをおすすめします。
遺留分侵害額請求書は明確な書式が決められているわけではありません。被相続人の氏名や本籍地などの情報、相続開始日や相続人たちの情報、侵害額請求する財産の情報などを転記して作成します。
まとめ
以上が、遺留分侵害額請求についてでした。前述したとおり、請求できる部分を期限内に提起出来なければ、取り返せるものも取り返すことが出来ません。そういった状況にならないためにも、しっかりとご自身の遺留分について把握し、提起出来るようにしておくことが良いでしょう。