配偶者居住権とは

相続

この記事を読むと?

 配偶者居住権の概要について知ることが出来ます。配偶者居住権が具体的にどんな権利か分からないという方や、相続する際の老後の生活資金確保が不安だというような方にお役立ていただける記事になっております。是非ご相談頂けたらと存じます。(2021年6月現在)

配偶者居住権とは

 配偶者居住権とは、被相続人が所有する建物に居住していた配偶者が、被相続人が亡くなった後でも当該建物に居住し続けることが出来る権利を言います。配偶者が被相続人を相続した後に居住する権利を確保した上で、遺産分割による老後の生活資金確保が可能になったということです。2020年4月に新設された制度になります。

配偶者居住権の例

 配偶者居住権の具体的な例について説明致します。

☆例
 まず、相続人が配偶者と子供1人だとします。そして、被相続人の相続財産が不動産(自宅)3,000万円・預貯金 3,000万円あったとします。以前でしたら、配偶者が3,000万円の自宅を、子供が3,000万円の預貯金を相続するような形で、配偶者の手元に現金が残らない状態がありました。(図1)

図1

 ですが、配偶者居住権を取得すれば、配偶者は1,500万円の配偶者居住権と1,500万円の預貯金、子供は1,500万円の負担付所有権と1,500万円の預貯金という形で、配偶者は自宅に住みながら現金の確保も出来るということです。(図2)

図2

配偶者居住権の取得方法

 では、配偶者居住権を取得するにはどうしたらいいのでしょうか。
 まず1つは、遺産の分割による取得です。これは、被相続人が遺言で配偶者居住権を設定しなかった場合、配偶者が遺産分割協議で取得することが可能です。協議で取得することが出来なかった場合は、家庭裁判所に申し立てをすることで、配偶者居住権を取得することが出来る場合があります。
 もう1つは、配偶者居住権が遺贈の目的とされたときです。いわゆる遺言による配偶者居住権の設定です。被相続人所有の建物に配偶者が居住しており、かつ被相続人が亡くなった時点で当該建物に配偶者が居住していた場合に配偶者居住権が認められます。
 なお、遺言による配偶者居住権の設定では、婚姻期間が20年以上ある場合、原則遺産分割協議で配偶者の取り分が減らされることはありません。

まとめ

 以上が配偶者居住権についての説明になります。残された配偶者が被相続人の所有していた建物に居住し続けることが出来るのは、近年の高齢化の流れに沿う制度になりますので、しっかりと活用した上で相続して頂ければと存じます。
 遺産分割協議で揉めてしまったり、まとまらなかった場合の遺産分割調停などが起こらないように、遺言書の作成をしておくことが一番でしょう。弊事務所でも遺言書の原案作成サポート等行っておりますので、お気軽にご相談頂けたらと存じます。

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